「ウェブ時代 5つの定理」でシリコンバレーの言霊の力をもらう

梅田望夫「ウェブ時代 5つの定理」を買ってきた。まだ半分ちょっと読んだところだが、せっかく発売日に買ったのだからインプレを書く。
梅田さんの前著2冊とは違って、この本は「あちら側」のことには触れていない。世の中を変えていく、という目標に挑む時のシリコンバレー流の構え、姿勢、いわば「シリコンバレー道」みたいなものを言い表した「言葉」を集めた本だ。「この本絶対読むぞ」という意気込みは実は持っていなかったのだが、本屋でパラパラと見て「あっ、これいいな」という言葉がすぐにいくつか見つかり、とりあえず買っておくことにした。
梅田さんのいつものオプティミスティックな語り口は抑え目。前著に比べると、著者が身を乗り出して語るような感じではなく、むしろ淡々としているくらいに感じるのは、文体がです、ます調だからだけではないだろう。読者対象をなるべく広く想定しているのか、ある層に向けて渾身でメッセージを送ろうとしていた前著とは、やや意図が異なるのかもしれない。
あとがきには(あとがきから先に読む奴→私)

読者の皆さんが心の中にゴールとして持つ、仕事人としての誇りたる自らの「最終定理」(仕事上の夢やライフワーク)の証明に、でき得ればこの「5つの定理」を応用してほしい、この本はそんな願いをこめて書いたものです。

とあるのだけれど、本書に挙げられている言葉は、(決して悪い意味ではなく)実用的なすぐに応用の利くノウハウを語ったものではない。
むしろ、こういう言葉をただ浴びていれば、すぐに直接には役に立たなくても、何となく鼓舞され、勇気付けられ、その「言霊」に知らず知らずに影響され、生き方や考え方が変化していくのかな、と思う。
そういう意味では、一回通読して本棚にしまっておくのも何だかもったいない本だ。本書に紹介されている多くの言葉を、気楽に何度でも浴びることができるように、オーディオブックにしてもいいんじゃないだろうか。

追伸。一つだけ納得のいかない翻訳があったので一応書いておこう。

(102ページ)
組織は最初から贅肉なしだ。
ライン(筋肉)とスタッフ(頭脳)を分けてはいけない。
多くの大きな「デブ」会社のように
その二つを一緒にしてはいけないんだ。

最後のところ、「分けてはいけない」じゃないのかなあ…。