「ウェブ時代をゆく」あるいは「梅田望夫の青春記」

昨日は、意気込んで読んだそのままの勢いでファーストインプレッションを書いてしまったのだが、今日は少しまったりとユルイ感想文を書く。
まず、尊敬するゲーム作家のABAさんの感想に笑ってしまった。

ウェブ時代をゆくが「これからの2.0世紀怠け者は去れ!勤勉であれ!勤勉であれ!」っていうトーンでまとめられていてへこんだ。まあ勤勉さは大切だけどね……

勤勉とか怠惰というのは評価軸に依存するので、私から見たら、ABAさんのように自分でキャラクタと音楽とゲームシナリオを作り弾幕記述言語を作りメルセンヌツイスターを使った乱数ルーチンを作りしかもそれをわざわざろくに解説書もないマイナーな言語を勉強して書く、などということをやっている人が怠け者とはとても思われない。ABAさんのような方が「日本って豊かだなぁ」という感じを生み出しているのだと思う。
それはさておき、本書を買う前に小飼弾さんの書評を読んだら

早い話、本書において梅田望夫ははじめて「ヌード」となったのである。

とあって、何じゃそりゃと首を傾げていたのだが、読んでみたら確かにそういう側面はあった。
弾さんの表現は、眼鏡の中年の男がヌードでポーズをとっているちょっと気持ち悪いイメージを想起させられてしまうので、少し普通の表現に直すと、本書は梅田さんの

■オレの話
 ■オレだよオレ!
by伊藤直也さん

という部分が随所にあって、そういう部分が抜群に面白い。
「勤勉であれ!」というのも、それは「オレの話」なのだと思えば、あまりそこらへん気にすることはない。(と信じている…。)梅田さんは勤勉な人なのだろう。なにしろ座右の銘が“Only the paranoid survive.” なのだから、勤勉でなければ嘘である。
その「オレの話」の中でも、第四章は「梅田望夫の青春記」とでも言うべき内容であって、梅田さんが若い頃にどういう行動を取っていたかという話は、その当時の梅田さんの年齢に今差し掛かっている人には参考になるだろう。梅田望夫ファンは、梅田さんの自伝だと思って第四章だけ読んでも楽しめるし学ぶところがあると思う。特に、若いときはこういうのを読むと真似したくなるものだし、早いうちに自分の人生の可能性を試すための色々なやり方を学んでおくことは、きっと良い影響があると思う。
ちなみに私自身は、むしろ第六章のほうで自分の来し方行く末を思わざるを得なくなったが、まあその話はまた今度。